藤屋段ボール株式会社MENU
FUJIYA DB SX SERIES02 / 04

サステナビリティ経営方針とはなにか?

――地域の中小企業にこそ必要な、未来を見据える経営

藤屋段ボールと第四北越フィナンシャルグループの対談風景
出席:モデレーター / 江口 知章様(第四北越リサーチ&コンサルティング/取締役 SX事業部長 兼 リサーチ事業部長) / 藤 紀彦(藤屋段ボール株式会社/専務取締役)
INTRODUCTION

前回は、支援開始の経緯と、自社の事業が「消費者の健康」にまでつながっているという気づきについて伺いました。第2回となる今回は、サステナビリティを「未来に向けた話」として捉える考え方や、SDGs宣言との違い、次世代の経営者こそ取り組むべき理由、そして第四北越フィナンシャルグループがこのサービスを立ち上げた背景に迫ります。

SECTION 01

サステナビリティ経営方針とつなげて考える

モデレーターサステナビリティと聞くと、単なるボランティアや社会貢献活動、環境に良いことをすればいい、という風潮がまだあると思います。今回のサービスの中では、事業と密接につながっているという点を強く意識していただく狙いも込められていたかと思います。江口さんが今回重視した点や、他の企業と比べて感じた特徴があれば教えてください。

江口様そもそも「サステナビリティ」という言葉自体、正確に説明できる人が少なく、人によって捉え方もさまざまです。社会貢献活動だけだと捉える方もいれば、環境だけだと捉える方もいます。そうした中で、私自身が納得している定義があります。エコノミストの小峰隆夫さんという方が示している定義で、「現在は支障がなくても、その状態を続けていると将来弊害が大きくなるような問題」というものです。つまり、今の問題ではなく、未来に向けた話だということです。そのため、サステナビリティ方針を作る際は、現状の課題を整理するだけでなく、もう少し先を見据えることに意識が向くよう心がけて進めさせていただきました。企業活動をしていると、どうしても目先の問題に意識が向きがちですが、こうした機会にもう一度先を見る、ということを意識して作らせていただきました。

江口氏が身振りを交えて話す様子
SUSTAINABILITY DIALOGUE
SECTION 02

サステナビリティ経営方針の考え方と地域中小企業への必要性

モデレーターこの「サステナビリティ経営方針策定サービス」は、藤屋段ボールさんに限った話ではなく、地域の中小企業に広げていくというミッションが根底にあるかと思います。SDGs宣言や環境方針など、重なる部分もあると思いますが、サステナビリティ経営方針とは具体的にどのような考え方で、地域の中小企業になぜ必要なのか、教えてください。

江口様SDGs宣言は、いわば「宣言します」という形で短くまとめるものです。今回は、将来を見据えてじっくり考え、それを会社全体の方針にまで落とし込むという意味で、宣言というよりも「策定方針」としてまとめた方が、御社(藤屋段ボール)の場合は社員の方々により浸透しやすいのではと思っています。SDGs宣言はどちらかというと、SDGsの目標に照らし合わせながら、自分たちがすでに行っている活動や今後やりたいことを整理していく形が多いのですが、サステナビリティ経営方針は、先ほどお話しした通り「先の話」です。未来がどうなっているかを一旦予想した上で、自社がどういう状態でありたいかという「ありたい姿」を明確にすることが重要です。そのありたい姿と現状とのギャップを埋めるために何が課題かを考えていきます。今回は「マテリアリティの特定」として6つの重要課題を特定し、それぞれを推進するためのKPIを考えていただきました。先行きを予想し、自社がなりたい姿を明確にした上で、そのための解決方法・課題を整理し、各社員の方々の取り組みにまで落とし込む、という一連の流れをまとめたのが、今回の策定方針です。その際に重要なのは、先を予測した上で「自分たちはこうなりたい」という意思を持てるかどうかです。なお、今回のサステナビリティビジョン自体は、もともと藤屋段ボールさんにあったものをそのまま使わせていただいています。「お客様の大切な商品を消費者の皆様へ安全、確実にお届けするための役割の担い手として、社会に貢献する」という意思・理念は、すでにホームページに掲げられていました。インパクト分析で「消費者まで」という気づきがあったとお話をされていましたが、実はもうすでにここに書かれていたんですね。ですので、今回の取り組みは、もう一度その意思を認識し直す機会だったのではないかと思います。

藤その頃はおそらく社長が考えて、どこかで整理していたのだと思います。

江口様インパクト分析の結果も、結果的には同じ内容になっていましたね。

藤インパクト分析でも、消費者、さらには健康まで、という点につながっていました。SDGsの項目の中にも「健康」という項目がありますし、そこにつながったのだと思います。

藤屋段ボールのバリューチェーンと事業インパクト
藤屋段ボールのバリューチェーンと事業インパクト

画像をクリックすると拡大できます

出荷を待つ段ボール製品
出荷を待つ段ボール製品

モデレーター地域の中小企業にとってもこうした取り組みが必要だと思う理由について、改めて教えていただけますか。

江口様特にお勧めしたいのは、専務様のように次世代の経営者の方が作るべきだということです。先ほどお話しした通り、サステナビリティ経営とは「先を読む」ことです。これは、コンサルタントの山口周さんがおっしゃっている「先手の経営、後手の経営」という考え方に近いものです。後手の経営(問題が発生してから対処する経営)が悪いわけでは決してなく、あえてそうしている経営者の方もいらっしゃいます。ただ、次世代の経営者の方には、どちらかというと先手の役割を担っていただきたいと思っています。自分がトップになった時にどういう会社にしたいか、というだけでなく、もっと先、自分が経営者になって次の世代に引き継ぐ時にどのような状態にしておきたいか、というところまで考えて、今やるべきことを考えた方がいいと思うからです。急に先のことを考えるのが難しい場合のステップとして、今回作成したようなサステナビリティ経営方針があると、順番立てて整理していくことができますし、一度作れば、10年後にその時の感覚でもう一度作り直すことも十分できます。その意味でも、若い次世代の経営者の方にこそ取り組んでいただきたいと考えています。

藤氏が話す様子
FUJIYA DB SX SERIES
KEY MESSAGE

「若い次世代の経営者の方にこそ取り組んでいただきたいと考えています。」

SECTION 03

第四北越フィナンシャルグループがこのサービスを始めた背景

モデレーターこうしたサステナビリティ方針の策定・分析・開示までを支援するサービスは、他でも始まってきていますが、このサービスを始めた背景や、今後どれくらい広げていきたいかを教えてください。

江口様このサービスを始めた背景として、非財務情報の重要性が高まっているという世界的な潮流があります。投資家からの要請もあり、上場企業を中心にその流れが進んでいますが、そもそもなぜこの潮流が生まれたかというと、財務の結果(売上や利益)を生み出しているのは、そこで働く社員や職場環境、会社を取り巻く外部環境といった「非財務」の部分だからです。これは開示しないと見えてきませんし、地域の中堅・中小企業にとっても同じ事が言えると思います。財務の数字がどれだけ良くても、その周辺の非財務の部分が傷んでいれば、持続可能性はありません。長きにわたって続いている中小企業は新潟県内にも数多くあり、肌感覚では取り組まれていることも多いと思いますが、それを体系立てて指針の形にし、社員にも周知しながら進めている会社はまだまだ少ないのが実情です。世の中の流れに沿って単発の取り組みをしている企業は多くありますが、それが何に基づいているのかを整理してあげることが、非財務の価値を高めるためのロードマップとして重要だと考え、第四北越リサーチ&コンサルティングでこのサービスを始めました。経営環境が大きく変わってきている中で、新潟県内の地場企業をもっと支援していくことが、最終的には新潟県全体の経済活性化につながると考えています。そのためにも、できるだけ長期的な関係を築き、5年後、10年後も成長し続けている企業を増やすお手伝いをしていきたいと思っています。今回作って終わりではなく、KPIの進捗状況を、銀行の担当者と一緒に(どのくらいのペースで確認するかは専務様の感覚にお任せする部分もありますが)対話しながらモニタリングしていく場にしたいと考えています。銀行はどうしてもお金の面のサポートがメインというイメージになりがちですが、今は「ヒト・モノ・カネ・情報」すべてにおいて支援させていただきたいと考えています。突然「何かありますか」と聞かれるよりも、同じ土台の上で継続的に対話できる場があった方がいいのではないかと思っています。

藤お手間でなければ、ぜひ共有させていただきたいですし、共有する場があった方がしっかり取り組めると思います。どうしても一人だと甘くなってしまうので。

江口様これも、サステナビリティは開示してフィードバックを得ながら進めていくものだ、という考え方の一つの具体例だと思います。KPIも、進めていく中で項目や水準感を見直した方がいい場合が出てくるかもしれません。そうした際もぜひご相談いただければ、一緒に対話できればと思います。

対談を俯瞰した風景
藤屋段ボール × 第四北越フィナンシャルグループ

モデレーター先を見据えるというお話がありましたが、この領域では「2030年」がひとつのキーワードになります。SDGsの目標年でもあり、あと4年後と、遠いようで近い時期です。そこに向けてサステナビリティを進めていくことについて、専務としての決意をお聞かせください。

藤今回のサステナビリティビジョンの策定で、現在の事業活動に関する諸々の整理が完了し、KPIも定まりました。次のステップとしては、社員が一体となってKPIの推進に取り組むことで、持続可能な成長を実現していきたいと考えています。一人ひとりの社員が、今回まとめた内容を理解し、主体的に取り組んでいる状態を、毎年KPIを追いながら社内にしっかり根付かせていきたいと思っています。

藤屋段ボールの生産拠点
藤屋段ボールの生産拠点
VENUE INTRODUCTION

取材場所紹介

わたご酒店さんの新店舗somaで取材をさせていただきました。

soma(ソマ)
取材場所:soma(ソマ)

somaとは、漢字で、杣(そま)と書きます。杣(そま)は、神社仏閣などの建材を、100年以上前から育てる人目に触れない山のことです。

人知れず、未来を見据えて静かに受け継がれてきた里山。

ここ新潟島には、山も森も、田んぼも畑もありませんが、日本一の大河「信濃川」で里山とつながっています。

さらに日本で最長の信濃川を名前の由来にもつ信濃町は、日本で最も文化が集積される場所なのではないかと考えています。

私たちが最も力を入れるのが、日本酒。日本酒は、まさに日本の自然と里山の営みによって生まれる産物です。

私たちは、このまちでそんな里山で繰り広げられる営みを、皆様にお伝えできれば幸いです。

また今後は里山へ誘う企画も考案中です!

Instagramを見る