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FUJIYA DB SX SERIES03 / 04

サステナビリティ経営方針を、社員の誇りに変える

――社内への浸透と、受け継がれる「挑戦のDNA」

藤屋段ボールと第四北越フィナンシャルグループの対談風景
出席:モデレーター / 江口 知章様(第四北越リサーチ&コンサルティング/取締役 SX事業部長 兼 リサーチ事業部長) / 藤 紀彦(藤屋段ボール株式会社/専務取締役)
INTRODUCTION

前回は、サステナビリティ経営方針の考え方と、地域の中小企業にとっての必要性について伺いました。第3回となる今回は、方針づくりに社内のキーパーソンを巻き込んだ意義、策定した方針の活用、安定供給が消費者の健康を支えるというつながり、そして木材加工業から始まった会社の歴史に見る「挑戦のDNA」をテーマにお届けします。

SECTION 01

社内のキーパーソンを巻き込む意義

江口様藤屋段ボールさんに伺って勉強になったのは、毎回、社内の重要なキーパーソンの方々が同席され、専務様お一人で進めるのではなく、重要なメンバーと一緒に話を進め、展開方法やKPIについても一緒に考えながら進められていたことです。こうした進め方の方が良いのだと、私たちも大変勉強になりました。

藤誰にも知らせずに私一人でまとめて落とし込んでも、社内では「何のことか」となってしまいます。まずは主要なメンバーだけでも内容を知っておいてもらうことで、これから落とし込んでいく上でもやりやすくなると思います。

江口様マテリアリティ(重要課題)の特定まではある程度合意形成がしやすかったのですが、特にKPIになると、現場でどのような活動をしていくかという段階で、それぞれの部門の方に入っていただいた方がやはり良かったと感じています。今回作成いただいたKPIの中で特に「藤屋段ボールさんらしい」と感じたのは、新規事業の粗利額の向上や、製造ロスの削減、再生産件数の削減といった項目です。これらは、環境や社会貢献の話ではなく、本業の話です。つまり、環境や社会貢献の話だけでなく、本業も含めた全体を見据えたものこそがサステナビリティ経営方針だということが、今回よく表れていると思います。それは、社内のキーパーソンの方々と一緒に作られたからこそだと思います。他の中小企業の方が進める際にも、この点はお勧めしたいポイントです。

江口氏が身振りを交えて話す様子
SUSTAINABILITY DIALOGUE
SECTION 02

策定した方針の社内活用方針(社内浸透・採用)

モデレーター今回策定された方針は、今後どのように社内で活用されていくご予定ですか。

藤まずは社内への浸透が重要だと考えています。特に、今回の一番大きな気づきである「当社の製品が食の安定供給を通じて消費者の健康維持に貢献している」という点を、社員一人ひとりに改めて伝えていきたいと思っています。自分の仕事の社会的な意義を実感できると、日々の業務への誇りややりがいにつながると思いますので、まずは社内にしっかり伝えていきたいと考えています。それ以外にも、採用活動にもつなげていきたいと思っています。「段ボール会社」ではなく、「人々の暮らしと健康を支える会社」というメッセージを発信していきたいと考えています。採用も年々難しくなっている状況ですので、求人を出すだけでなく、求職者はホームページもしっかり見ていますので、今回の取り組みの内容や、こうした対談記事なども掲載し、それを見た方に「ここで働きたい」と思っていただけるようにしていきたいと思います。

段ボール製品の製造工程
段ボール製品の製造工程
SECTION 03

安定供給と消費者の健康のつながり

モデレーター「安定供給していくことが人の健康を支えている」というのは、インパクト分析でも感じられた部分かと思いますが、実際の業務の中でそうしたことを感じたり、気づいたりする場面はありますか。

藤日々段ボールを作っている中で、そうしたことを意識する機会は正直あまり多くありません。ただ、お客様からは「段ボールがあるおかげで商品を輸送できている」と感謝いただくことはよくあります。その部分についてはお声をいただけるのですが、消費者の健康にまでつながっているという意識はあまりありませんでした。そこは改めて重要なポイントとして認識していきたいと思います。

モデレーター製造業という観点で言えば、納期通りに届け続けることも、間接的に人々の健康を支えることにつながっていると思います。届け続けることに価値を見出し続けていきたい、というお考えでしょうか。

藤はい。消費者の健康を支える、という視点で考えると、非常に重要なテーマになってきます。当社のお客様は、だいたい2〜3日後に使用する箱を発注されるケースが多く、もし当社が1日でも納品を止めてしまうと、お客様の生産活動に大きな影響が出てしまいます。日々さまざまなお客様からさまざまな規格の商品をご依頼いただきますが、期日通りに高品質な箱を作ること自体が、お客様の出荷、さらにはその先の消費者にまでつながっていると考えると、安定的に良い製品を届けること自体に非常に価値があり、重要なことだと考えています。当社の社員も、納期通りに製品を作って届けることを当たり前のように行っていますが、改めてこの点には自信を持ってほしいと思っています。

藤屋段ボールの価値創造プロセス
藤屋段ボールの価値創造プロセス

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製函機の操作を行う製造現場
製函機の操作を行う製造現場

モデレーターその点、江口さんはどう見ていますか。

江口様非常に重要なポイントだと思います。高品質な商品を安定的に、納期通りに提供することは、今は当たり前になっていますが、物流の「2024年問題」などのように、今後、人口が減少していくと、今まで通りの品質・納期を維持することがだんだん難しくなっていく可能性があります。皆さん何となく感じてはいても、「今はまだ大丈夫」という感覚だと思います。しかしながら今後、サプライチェーン全体で考えなければいけないことと、自社としてできることの両面があるので、その準備を進めていくことが重要です。すぐに行動が変わるわけではなくても、今から社員の方々と話し合いを始めておくこと、将来を見据えた意識づけをしておくことが大切だと思います。

SECTION 04

設計提案・紙製ディスプレイと環境負荷

モデレーターそうした中で、設計段階での軽量化や物流の効率化を進められていると思いますし、さらに紙製ディスプレイや紙製什器のご提案もされています。お客様の課題解決に加えて、環境負荷という観点でもつながる部分があるのでしょうか。

藤紙製ディスプレイについてお問い合わせいただくお客様は、環境面だけを考えてご依頼されるわけではなく、「こういうものを作りたいのだけれど、ホームページに事例があったのでできますか」といった形でご相談いただくケースが多いです。お客様が実現したいことを、当社の既存の設備や技術を活かしてご提案し、解決しています。その中で、紙はリサイクルに回せるという点が、環境負荷の面でも良い点として挙げられます。

紙素材を活用して製作したイベントブース
紙素材を活用して製作したイベントブース
紙素材の可能性を広げる開発事例
紙素材の可能性を広げる開発事例
SECTION 05

会社の歴史に見る「挑戦のDNA」

モデレーター創業からの流れを振り返ると、時代やお客様のニーズに合わせて、事業の内容を少しずつ変えながら今の基盤を築いてこられたのだと思います。ディスプレイや紙製什器への取り組みは比較的最近のことですが、挑戦し続ける社風なのでしょうか。

藤かっこよく言えば「挑戦のDNA」かもしれません。当社はもともと段ボール製造業ではなく、木材の加工業から始まっていて、当時の主力は下駄の材料を供給する仕事でした。下駄屋さんに下駄の木材を供給していたのですが、ご存知の通り、下駄を履かない時代が来てしまいました。そこで、既存の技術を使って、今でいうプラスチック製の浮きの木材版のようなものを作り、漁業関係の会社などに販売していました。また、当時リンゴなどが木箱で輸送される際に使われていた「木毛」という緩衝材も作って販売していました。既存の技術を活かして新しい商品を作り、販売していたという意味では、段ボールの既存技術を使って新たな領域に挑戦している今の姿と似ている部分があると思います。時代のニーズに対応していくことが重要だと思うので、この「挑戦のDNA」は今後も継承していきたいと思っています。

江口様御社のホームページに掲載されているコンテンツの中では、藤屋段ボールさんとその前の歴史の話が、実は一番面白いと個人的に思っています。まさしく「挑戦のDNA」です。あえてこれを公開されているのがすごいと思います。

藤私も入社してから会社の歴史を改めてよく知りまして、段ボール事業を始めた先代はそれ以前から様々な事業に取り組み、常に挑戦している事を知りました。今はダンボール製造の事業をやっていて今後も続けていきたいと思っていますが、長い歴史で見ればそれ以外の時代もあったということ、今は段ボール事業中心の会社ですが時代の流れの中でそれが変わっていく可能性もあるということ、その過渡期である事が伝わればよいと考えています。ただ、その歴史を直接社員に語るわけにもいかないので、興味を持って見てくれた方に、「こういう歴史があったんだ」と分かってもらえればいいなと思って掲載しています。

江口様あの話を通して、「変化への対応力がある」という姿勢が伝わると思います。「うちは対応力があります、何でもできます」と言っても、それだけでは伝わりにくいのですが、過去にこうした事業の変遷があったと知ると、「この会社は変化への対応力があるんだな」と、エピソードを通じて説得力を持って伝わります。初めて見た人からすると、非常に納得感のある話だと思います。

モデレーター会社の歴史というのは、やはり面白いですね。

江口様工場を見学して、皆さん一生懸命ダンボールを作っているのを見ると、確かに「ダンボールの会社」という印象にはなりますが、それだけではないというところが伝わる、面白いエピソードだと思います。

KEY MESSAGE

「この『挑戦のDNA』は今後も継承していきたいと思っています。」

VENUE INTRODUCTION

取材場所紹介

わたご酒店さんの新店舗somaで取材をさせていただきました。

soma(ソマ)
取材場所:soma(ソマ)

somaとは、漢字で、杣(そま)と書きます。杣(そま)は、神社仏閣などの建材を、100年以上前から育てる人目に触れない山のことです。

人知れず、未来を見据えて静かに受け継がれてきた里山。

ここ新潟島には、山も森も、田んぼも畑もありませんが、日本一の大河「信濃川」で里山とつながっています。

さらに日本で最長の信濃川を名前の由来にもつ信濃町は、日本で最も文化が集積される場所なのではないかと考えています。

私たちが最も力を入れるのが、日本酒。日本酒は、まさに日本の自然と里山の営みによって生まれる産物です。

私たちは、このまちでそんな里山で繰り広げられる営みを、皆様にお伝えできれば幸いです。

また今後は里山へ誘う企画も考案中です!

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